専従者給与の適正額とは

こんにちは、昭島市の税理士・大林央です。 フリーランスの方々からよく受ける質問に「専従者給与の適正額とは」というものがあります。

前置きを含めてご説明しますが、まず所得税法の大前提として、生計を一(一つの財布で生活しているという意味です)にする配偶者その他の親族に支払う給与賃金は必要経費になりません。ただし青色申告の場合、「事業専従者」の【要件】を満たせば、家族へ支払った給与であっても、その全額が必要経費として認められます。これが「専従者給与」というものです。

青色事業専従者給与として認められる【要件】は、次のイ~ロのいずれにも該当する人をいいます。

イ 青色申告者と生計を一にする配偶者その他の親族であること。

ロ その年の12月31日現在で年齢が15歳以上であること。

ハ その年を通じて6月を超える期間、その青色申告者の営む事業に専ら(※)従事していること。

このうち(※)にある「専ら」は判断に迷うところです。「もっぱら」ですから他に職業があれば「専ら従事」には該当しません。

ところがです。

仮に奥様がパートにでている場合は「専ら」とは言えないのでしょうか。これについては個別の判断とはなるのですが、例えばパートに従事する時間が短く、事業に専ら従事することが妨げられない程度だと判断できれば、一般的には問題ないと考えられます。常識的に考えれば、少なくとも専従者として従事する時間を超えてパートに出て働いていては専従者とは言えないと判断されても仕方ありません。

なお、青色事業専従者で給与の支払いを受ける場合は、たとえ給与収入が103万円以下であっても配偶者控除又は扶養控除の対象とはされません。つまり、青色事業専従者になると扶養から外れるのです。扶養控除を受ければ38万円の控除が受けられるわけですから、それ以下の給与を支給して経費にしたところで節税効果としては逆効果、意味のないものになってしまいます。金額の設定には注意が必要です。

専従者給与の適正額(さじ加減)は?

じつはこの判断は非常に難しいのです。例えば、一日4時間程度の事務仕事を週に3日手伝っている奥様に30万円支給したとします。仮に月50時間従事していたとすれば時給は6,000円にもなります。奥様が専門的な資格をお持ちの場合を想定しても、第3者に説明して納得してもらえるでしょうか。

この問題における判断基準はズバリ、「常識に照らして考える」です。つまり「もし他人にその仕事を依頼した場合いくら払いますか」ということです。

2018年10月1日より、東京都の最低賃金は時間額985円です。上記の事例のように月50時間程度の従事時間であれば、仮に時給1,500円程度で計算すると75,000円という金額が算出できます。専従者にこの程度の給与で意味があるのかどうかという問題を除けば、一般的には許容される範囲かなという気はします。

いずれにしても第3者に説明して納得させる根拠があれば問題ないわけですが、最終的には税理士や税務署に相談するなりして他人の判断を仰ぐこと、他人の感覚を聞いてみることをお勧めします。素人判断で決めてしまうことは避けたいところです。

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