自筆証書遺言の方式緩和
こんにちは、昭島市の税理士・大林央です。今週はインフルエンザの猛威に屈し、丸3日間高熱にうなされるという悪夢の一週間でした。家族のうち予防接種を受けていない2人だけが感染するというやられっぷり。次回は確実にインフルエンザワクチンを受けなければです(猛省)
さて自筆証書遺言の方式緩和のお話です。2018年7月の民法改正により、本日2019年1月13日以降に作成される自筆証書遺言から、その方式が緩和されています。(新制度に移行)
相続のトラブルを避けるために遺言は有効な手段です。遺言には本人が口述したものを公証人が筆記し原本を公証役場に保管してもらう「公正証書遺言」と、本人が遺言の全文・日付・氏名等を手書きで書き上げる「自筆証書遺言」とがあります。
今回改正になったのは後者の「自筆証書遺言」に関する部分です。
全文手書きから財産目録はパソコンでの作成も可能に
改正前の「自筆証書遺言」では文字通り全文を自らが手書きで書き上げる必要がありました。「公正証書遺言」に比べて費用もかけずに手軽に作成できる反面、やはり全文を手書きでというのは負担感が大きいもの。財産の数が多いほどその負担は大きくなります。
今回の改正により、遺言書のうち財産目録をパソコンで作成することがOKに。さらに預金通帳のコピーや不動産の登記簿謄本のコピーなどを添付することで財産目録の代わりにすることも可能となりました。(この場合、各ページごとに本人の署名押印が必要 ※偽造防止のため)
さらに今後は「自筆証書遺言の保管制度」がスタートする予定です(2020年7月10日より)。これにより自筆証書遺言の欠点である紛失や、書き換えられたりする心配はなくなりそうです。保管時には法務局側で形式チェックも行われますので、形式不備も少なくなるでしょう。
「自筆証書遺言」は今まで以上に使いやすく改正されていきますが、それでも万全ではありません。遺言書を探すのは残された相続人の仕事。家族が法務局に問い合わせしなければ遺言書は表に出てきません。遺言は亡くなったご遺族の最後の伝言です。その所在を家族で共有していくことが重要なのは言うまでもありません。