法人設立で節税ってどういうこと?

こんにちは、昭島市の税理士・大林央です。 先日、税理士会の税金相談会で質問された件、「法人設立で節税ってどういうこと?」についてです。

起業するにあたり、個人事業主で始めるか法人で始めるかについてはいろいろな考え方があります。私なりの意見ですが、つまるところ取引先次第なのかなと思っています。創業融資についても個人か法人かで差はありません(某金融機関談)。得意先様が「法人でないと取引できないよ」というスタンスなら法人で起業、個人という立場でも取引上不利にならないのであれば個人事業主で構わないのではないでしょうか。

小さく始めて大きく育てるという意味でも、個人事業から始めて業績が軌道に乗り始めたら法人化を検討する流れが一般的だと思います。

そして実際に事業が成長していくと、会社組織での運営を意識し始めます。いわゆる「法人成り」です。法人を設立すると節税になるらしいけど・・・どういうこと?

今回は細かい点には言及せず所得税と法人税の税率に焦点を当てて大枠をご説明したいと思います。

例えば、個人事業で、売上2,000万円、経費800万円の方の所得税です。
事業所得は2000万円-800万円=1,200万円
この1200万円から青色申告特別控除65万円と基礎控除38万円のみを考慮します。
課税所得は1200万円-65万円-38万円=1,097万円となります。
所得税:1,097万円*33%-1,536,000円=2,084,100円となります。
(※単純化するために復興税等の細かい論点は省いています)

この個人事業主が、法人を設立し社長になった場合どのようになるでしょうか。

会社の売上2,000万円、経費800万円、月100万円の役員報酬を社長自身に支払ったとします。この場合、2000万円-800万円-1200万円=0円 ですから、法人の課税所得はありません。税金は法人住民税(均等割)の7万円だけとなります…①

一方、社長の所得税を計算します。

役員報酬は給与所得控除が使えるので、給与所得:1,200万円-220万円(平成30年分の給与所得控除額)=980万円
この980万円から基礎控除38万円のみを考慮します。
課税所得は980万円-38万円=942万円となります。
所得税は、942万円*33%-1,536,000円=1,572,600円となります…②
①と②の合計が1,642,600円となります。

つまり、個人事業の場合の所得税2,084,100円と、法人化した場合の法人住民税と所得税の合計1,642,600円を比較すると法人化によって441,500円の節税効果が出ることとなるのです。

これが「法人設立で節税」の大枠です。個人の所得に連動する税金としては所得税の他に、住民税、国民健康保険税、社会保険料などがあります。これらを総合的にシミュレーションしてみればより具体的な試算が可能となるでしょう。

法人成りすることで節税スキームのバリエーションは格段に増えます。これについてはまた別の機会に触れてみたいと思います。

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