家なき子特例の改正とは
こんにちは、昭島市の税理士・大林央です。 今日は午後から昭島で研修会です。夜は補助金関係の勉強会&打合せです。
先日、相続の実務において小規模宅地等の特例の適用の有無を検討する際、特例対象宅地等の要件を見直す機会がありました。その際、30年で税制改正された「家なき子特例」の改正を確認して「うーん」と感じた点を少々。
平成30年4月1日以後に相続又は遺贈により取得をする宅地等に係る相続税について、特定居住用宅地等の要件が変わっています。いわゆる「家なき子特例の改正」です。
家なき子特例の趣旨は、一人暮らしの被相続人の居宅を、持ち家がない親族(家なき子)が相続すれば、330㎡を限度として土地の評価額の80%減額が受けられるというものです。いわば空き家になった実家の税制面からの保護とも言えます。
これまでは相続開始前3年以内に日本国内にある自己、自己の配偶者が所有する家屋に居住したことがないことが要件でした。(その他の要件への言及は省略しています)
つまり相続開始前3年の間、相続人に持ち家がなければ要件クリアでした。ところがこれを悪用して不自然に持ち家のない状態を作り出す等の行為(自宅を子や孫に贈与して持ち家がない状態を作り出す等)が横行した結果、今回の改正に至ったようです。
どう改正されたかというと、相続開始前3年以内に日本国内にある自己、自己の配偶者、自己の三親等内の親族又はその親族と特別の関係にある一定の法人が所有する家屋に居住したことがないこと、とされました。
「3親等内親族」という制限により、要件がかなり厳格化されています。
東京に実家のある長男が、北海道の叔父(実父の兄なので3親等)の家に下宿していました。そこで東京の実家に相続が発生した場合家なき子特例が使えないということです。用件だけ見るとこれは厳しすぎる気もします。
今後の実務への影響次第ではもう少し要件を緩和させるような改正があるのではないでしょうか。いずれにしても年々改正が相次いでいますので、要件等の確認には注意していかないとなりません。