自家用車の費用を事業経費にしたい

こんにちは、昭島市の税理士・大林央です。確定申告もここまでは順調に推移しています。この時期一番注意すべきは、何よりも「体調管理」。元気があれば何でもできます、たぶん…

さて、先週の記事の流れですが、今週はもう一歩踏み込んで家事関連費について述べたいと思います。「自家用車の費用を事業経費にしたい」と考える方は多いでしょう。今まで家事用で使用していた乗用車をどうやって事業経費に計上するのか、そのあたりを考えてみます。

まずは大切な前提ですが、自動車の使用目的、用途は明確になっていますか。材料の買い出しで使う、お客様宅への打ち合わせ訪問時に使うなどの理由が一般的だとは思いますが、事業に関連する使用であることをきちんと説明できることが「事業経費」に計上する前提ですので再確認いただければと思います。

自動車に関連する費用は多いですが、例えば自動車税、重量税、車検費用、自賠責保険、任意自動車保険、ガソリン代、洗車代、パーキング代などがあります。これらの支出は領収証の金額のうち事業割合部分のみを事業経費として計上していくだけですから、割合さえ決まれば問題ないでしょう。ややこしいのは減価償却費の計上です。

減価償却という手続きは自動車の取得費用を数年間にわたって少しづつ経費にするというもの。金額も高額になりますし、売上への貢献も数年に渡るわけですから買った年の費用として一度に経費にできないルールになっています。

そこでちょっと悩むだろうという事例です。

【事例】これまで家事用に使用してきた乗用車(2015年2月新車購入、取得価額300万円)を2018年7月の開業と同時に事業用としても使い始めました。

【計算方法】(1)から(4)までの手順に沿って計算します。

(1)非業務用期間の耐用年数

一般的な乗用車の耐用年数は6年なので

6年×1.5=9年(1年未満の端数切捨て)(所令85②一)

(2)非業務用期間(旧定額法による)の償却費(所令85①)

{300万円-(300万円×10%)}×0.112(※1)×3年(※2)=907,200円

※1) 耐用年数9年の旧定額法の償却率

※2) 2015年2月~2018年7月までの期間は3年5か月ですが、端数処理は6月以上は1年とし、6月未満は切り捨てますので3年(所令85②二)

(3)業務開始時点の未償却残高

300万円-907,200円=2,092,800円

(4)2018年分の償却費の計算

300万円×0.167(※1)×6月/12月(※2)=250,500円(このうち業務使用割合だけが減価償却費として計上できます)

※1) 耐用年数6年の定額法の償却率

※2) 2018年7月開業なので当年は6か月分が対象

2018年末現在の未償却残高は2,092,800円-250,500円=1,842,300円となります。

 

いかがでしょうか。多少手間はかかりますが、順を追って確認すれば複雑な計算はありません。

下記のリンクも参考にぜひチャレンジしてみてください。

国税庁タックスアンサー
No.2109 新築家屋等を非業務用から業務用に転用した場合の減価償却

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