不動産所得 火災保険と修繕費 フリーランスは処理に注意
こんにちは、昭島市の税理士・大林央です。確定申告の真っ最中。そこそこ忙しい毎日ですが、日程調整に注意しつつ、あと半月少々でなんとかしないとです。少し疲れました…
さて、不動産所得の計算をするうえで迷いがちな論点で修繕費があります。原状回復なら修繕費、資産価値が上がったり耐用年数が伸びる場合は資本的支出とする。これが基本的解釈ですが、たまに「むむむ」と思う論点も出てきます。それが今回のタイトル「不動産所得 火災保険と修繕費 フリーランスは処理に注意」です。
不動産について災害その他の事故があり、修繕する必要が生じることもあるでしょう。火災保険の適用により保険金が事業者に入金され、それを元手に修繕したとします。事業者が手にしたこの保険金は収入計上の必要があるのでしょうか。
実はこの保険金、丸ごとすべて非課税となります。
仮に100万円の保険金がおりて修繕費に50万円かかった場合、差額の50万円が非課税として取り扱われます。手許に50万円が残りますがそこに税金は一切かかりません。
逆に保険金が50万円しかおりないのに修繕費に100万円かかった場合、不動産所得の計算上修繕費として計上できるのは50万円だけとなります。
所得税法
(非課税所得)
第九条 次に掲げる所得については、所得税を課さない。
十七 保険業法(平成七年法律第百五号)第二条第四項(定義)に規定する損害保険会社又は同条第九項に規定する外国損害保険会社等の締結した保険契約に基づき支払を受ける保険金及び損害賠償金(これらに類するものを含む。)で、心身に加えられた損害又は突発的な事故により資産に加えられた損害に基因して取得するものその他の政令で定めるもの所得税法施行令
(非課税とされる保険金、損害賠償金等)
第三十条 法第九条第一項第十七号(非課税所得)に規定する政令で定める保険金及び損害賠償金(これらに類するものを含む。)は、損害保険契約に基づく保険金その他これらに類するもの(これらのものの額のうちに同号の損害を受けた者の各種所得の金額の計算上必要経費に算入される金額を補てんするための金額が含まれている場合には、当該金額を控除した金額に相当する部分)とする。※下線部分は筆者編集
ちなみに棚卸資産の損害にかかる保険金や、営業休止など理由によりその間の収益の補償として支払いを受ける保険金は、収入の金額に計上する必要がありますので注意しましょう。また、法人の場合、もらったものはすべて収入、かかったものはすべて費用として認識します。
法人とフリーランスでは取り扱いが異なりますので知っておくとよいでしょう。