特定口座内の株式譲渡・配当所得等の申告時の注意点

こんにちは、昭島市の税理士・大林央です。今週で確定申告も終了です。来年への申し送りの意味も込めて「特定口座内の株式譲渡・配当所得等の申告時の注意点」をまとめておきます。

一定の手続きをすることで、利子配当等を特定口座にて受け取ることが可能となります。これが「利子配当受け入れ源泉徴収選択口座」ですが、大変便利な制度で、例えば株式等の譲渡損失がある場合、同じ特定口座に受け入れた配当所得と自動的に損益通算してくれ、納めすぎた源泉所得税があれば還付手続きも特定口座内で完結させてくれます。

さて、この利子配当受け入れ源泉徴収選択口座における申告・申告不要の選択について“特定口座年間取引報告書”を見ながら説明してみます。ひな形を使用していますので金額の記載はありません。

申告・申告不要の選択を考えるうえで、上場株式等の譲渡所得等が黒字の場合赤字の場合とに分けて考えます。赤字の場合、特定口座内において譲渡損と配当等の額で損益通算されてしまっていますから、何もしないかその赤字を繰越すかの2択というケースがほとんどでしょう。赤字を切り捨てることはなるべくしたくないと考えれば、結論としては配当等の額についても申告分離を選択しましょうと流れが自然ではないでしょうか。(総合課税で配当控除が受けられないというわけではありません)

したがって今回は、ちょっと迷ってしまうんだろうなというケースとして、上場株式等の譲渡所得等が黒字の場合の配当等の額の申告の選択肢を考えたみたいと思います。

★上場株式等の譲渡所得等が黒字の場合
この利子配当受け入れ源泉徴収選択口座は次のいずれかの選択となります。
①譲渡等も利子配当もすべて申告しない
②譲渡等は申告、利子配当は申告不要とする
③利子配当は申告、譲渡等は申告不要とする
④譲渡等も利子配当もすべて申告する

念のためですが、上の赤枠で囲んだ「特定上場株式等の配当等」と「上記以外のもの」は、いずれかだけを申告する又は申告しないという選択はできませんので注意しましょう。

この黒字のケースでは株式売買で譲渡益が出ていますから、特定口座以内で課税済み(20.315%)な状態になっています。これをあえて確定申告するメリットは極めて低いというのが多数派でしょう。申告すれば所得の総額が増えてしまいますので国民健康保険や後期高齢者医療保険の負担割合に影響が出る可能性が高いです。ですから譲渡益が出た場合②を選択するケースは考えなくてよいと思います。

次に③、④を選択した場合、配当等の額の申告は次のア、イのいずれかの選択となります。
ア  いずれも申告分離で申告する。
イ「特定上場株式等の配当等」(赤枠の上側)は総合課税で、「上記以外のもの」(赤枠の下側)は申告分離で申告する。
ここでも注意点ですが、「特定上場株式等の配当等」については、例えば前出の表「特定口座年間取引報告書」の④「株式、出資又は基金」は総合課税で、⑦「オープン型証券投資信託」は申告分離で申告するということはできません。同一年中に受けた「特定上場株式等の配当等」(赤枠の上側)については総合課税か申告分離課税のいずれかしか選択できないからです。

さらにもう一点、イを選択し「特定口座年間取引報告書」の④「株式、出資又は基金」又は⑧「国外株式又は国外投資信託等」を総合課税で申告して配当控除を受けようとする場合、内国法人から支払いを受ける配当か否かのチェックが必要です。外国法人から受ける配当等は、配当控除の対象となりませんので。

おおざっぱですが、⑧「国外株式又は国外投資信託等」に記載金額があれば、その金額は概ね外国法人から受ける配当等ですから総合課税で配当控除を受けるという選択肢はなくなります。同一年中に受けた「特定上場株式等の配当等」については総合課税か申告分離課税のいずれかしか選択できないというルールがありますから、④「株式、出資又は基金」についても申告分離での申告しか選択できないこととなるわけです。

所得税について確定申告する場合、住民税にも影響が及びます。住民税については申告不要制度を選択する方が有利です。お住まいの市役所等に住民税は申告不要としたい旨の申告書を忘れずに提出しましょう。

以上、特定のケースに限定して考えてみましたが、特定口座で受ける配当等については取り扱いが非常に複雑です。浅い知識で自分の都合の良いように申告してしまうと、後々痛いしっぺ返しを食らうことにもなり兼ねません。よく研究して適正な申告を実践したいものです。

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