フリーランスは生活費をどう管理するか

こんにちは、昭島市の税理士・大林央です。 先日、立川青色申告会にてフリーランス向けの記帳をテーマに講師を担当して参りました。そこで「フリーランスの生活費をどう管理するか」という点について話をしましたので内容をまとめてみます。

法人の場合、経営者である社長に支払う生活費(役員報酬)は経費として認められます。毎月支給される給与で生活していきますので管理もしやすく、経理処理としては理解しやすいものです。

一方でフリーランスの場合、同じように事業用の口座から経営者である個人事業主に生活費を支払う訳ですが、法人と違って支払った生活費を経費として認識していくことができません。(経費の勘定科目が使えないルールがあるので)

考えてみれば当たり前で、そもそもフリーランスとは儲かり分を事業所得という区分で課税されるべき人達です。それゆえに売上から経費を引いた残額(=事業所得)を算出するために日々記帳しているのです。そうやって算出した事業所得に税率を掛けて税金を計算させたい訳ですから、その記帳の過程で生活費としての支出を給与のような経費として認めてしまえば、事業所得として課税すべき金額の一部を給与所得という区分で課税させる金額に流せてしまうことになります。これはさすがに認めてもらえません。

さてさて話を元に戻しますが、生活費として引き出す現金。ここで記帳ミスしやすいポイントがあります。お金の動きとしては預金口座からお金を引き出すわけなので、ついつい

現金 ○○円/ 普通預金 ○○円

という仕訳で処理してしまいます。12か月間、生活費を引き出すたびにこの仕訳で処理し続けた結果、年末の現金残高が数百万円という状態になるわけです。引き出した現金はその都度生活費として消費しているわけですから当然、手元にそんな現金は存在しません。現金の実際の残高と帳簿残高が合わないという残念な結果が待っています。

それではどうすればいいのか。結論として、生活費として引き出した現金は 事業主貸(じぎょうぬしかし) という科目で処理をします。具体的な仕訳は次の通り…

事業主貸 ○○円 / 普通預金 ○○円

生活費を含めた家事費の支出はすべてこの「事業主貸」として処理します。これはルールなので覚えるしかありません。※ちなみにこの「事業主貸」は家事経費の支出のための勘定科目なので必ず借方(左側)に配置されます。○○ / 事業主貸 という仕訳は正しくありません。

さて、「フリーランスの生活費をどう管理するか」という論点に戻りますが、方法はいたって単純。事業経費と家事費を明確に分離させること、これに尽きます。まず、事業用の口座と家事用の口座は完全に分離させます。さらに事業用の口座から生活費用の口座に振り替えるのは原則月1回、定額を毎月同じ日に資金移動させるのです。

そして家事関連費(生活費、食費、医療費、所得税、住民税、交通反則金、国民健康保険税、国民年金、生命保険料など)は事業用口座からは支払わないようにするということ。仮にこれらの支払いに事業用口座を使えば、その都度「事業主貸」で管理することになり、処理が煩雑になるだけです。

経費にならない支払い(家事関連費)を把握して支払い口座を整えれば事業主貸の面倒から解放されます。そのために上記の事業経費と家事費を明確に分離させる方法を徹底させることが大切なのです。

 

 

 

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